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2012/02/23

ホントウのナマエ

「拾ってきた仔に名前をつけてはいけないよ。」

昔々、
子どものときに大人に言われた言葉。
雨の日に、
団地のエレベータホールに捨てられていた
子猫を拾ってきた夕方に、
お母さんに言われたその言葉。

今になってはじめてその意味がわかる。

忘れていたその言葉が
今更耳の奥で鮮明に響く。

名づけてしまったステイヌの
否、そうじゃない、
名づけたのではく、
ホントウのナマエで呼んでしまった
そのマヨイ仔の、
握り心地の良かったリードが
この手のひらから滑り落ちて
その仔が私たちの前からいなくなってしまってから、
もうどれくらい経つのだろう?

その仔はシアワセになれたのかな。
本当の居場所にたどりつけたのかな。
それともまだ何かを探して続けているのかな。

よくあるありふれたその名を耳にする度に
思わず立ち止まってしまう。
時間が止まってしまう。
その仔のシアワセを願ってしまう。
私たちがあげられなかったシアワセを。
私が貰えなかったまなざしを。

情が移ってしまうとはこういうことなんだ。
だから
迂闊にホントウの名前で呼んではいけなかったんだ。

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